2020年8月8日、シルバーストン予選で、メルセデスは少しおかしなことをやっている。Q3の1本目をソフトタイヤで走ったあと、2本目でわざわざミディアムに履き替え、そのミディアムでフロントロウを独占した。
ポールはバルテリ・ボッタスの1分25秒154。0.063秒差でルイス・ハミルトンが続き、3番手のニコ・ヒュルケンベルグとの差は0.928秒。ヒュルケンベルグのほうはQ3でソフトに履き替えてこのタイムを出している。つまり、やわらかいタイヤを履いた3番手に、かたいタイヤで1秒近い差をつけたことになる。
| 順位 | ドライバー | チーム | タイム | ポールとの差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 1:25.154 | — |
| 2 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:25.217 | +0.063 |
| 3 | ニコ・ヒュルケンベルグ | レーシングポイント | 1:26.082 | +0.928 |
| 4 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル | 1:26.176 | +1.022 |
| 5 | ダニエル・リカルド | ルノー | 1:26.297 | +1.143 |
ヒュルケンベルグはコロナ陽性となったセルジオ・ペレスの代役で、レーシングポイントに乗るのはこれが2週目。そしてトップ10で唯一、Q2をハードタイヤで突破していたのがマックス・フェルスタッペンだった。この選択が翌日の決勝で効いてくる。
W11は17戦13勝15ポール、コンストラクターズ573点という数字を残したマシンである。それでも決勝で勝ったのはフェルスタッペンだった。
帝国のマーチが流れていたころのW11
これ、ミームで帝国のマーチを流しながらピットを出ていくやつだよな?
わかる。オーストリアであの黒いマシンを初めて見たときは鳥肌が立った。
土砂降り。全員がペースを落とす。路面は滑りすぎて、とても走れたもんじゃ……。そこにスプレーの向こうから真っ黒なマシンが見える。ルイス・ハミルトン。3セクター、全部パープル。※厳密にはオーストリアじゃなくシュタイアーマルクだった(オーストリアの予選はドライだったので)。でも言いたいことは変わらない。
F1 Visualizedが予選タイムの可視化グラフを作るとき、W11が速すぎてグラフの目盛りを引き延ばさないと収まらなかったのを覚えてる。いい時代だった。
1992年のイギリスGPでそのグラフを作ったらどうなるか想像してみろ。
「メルセデスに今すぐ追加のADUOを」
メルセデスが取りこぼした数少ない週末
シーズンを完全制圧できなかった理由はたった2つ。マックス・フェルスタッペンと、モンツァとサクヒルでやらかした戦略ミスだ。
あとオーストリアでのハミルトンのやらかしもな。くそっ、あれはアルボンが勝つべきレースだった。※補足:あのクラッシュがなければメルセデスは開幕戦を勝てていなかった、という意味で書いた。言葉足らずですまん、めちゃくちゃ眠いんだ。
2020年オーストリアGPは終盤のセーフティカー明けに、アルボンがターン4のアウト側からハミルトンを抜きにかかって接触、スピンして脱落した。ハミルトンには5秒ペナルティが出て4位に降着している。
ピンクのメルセデスとヒュルケンベルグ
一方その頃、ヒュルケンベルグは……
ヒュルケンベルグがレーシングポイントに乗り込んできて予選3番手っていうのが最高だった。決勝が7位止まりだったのは惜しい。
あのレースの戦略はひどかった。彼のせいじゃないよ。
あのチームがまともな戦略を組んだことなんてあったか?
W10って普通にいいマシンだったからな。
とはいえ彼は体調不良のペレスの代役だぞ。それを考えると、あの予選は本当にクレイジーだった。ヒュルケンベルグがこれまで乗った中で一番いいマシンだったかもしれない。ストロールの代わりにフルシーズン乗らせてやれなかったのが残念でならない。
2020年はストロールにとって断トツでベストシーズンだった。運が向いていればペレスを上回って4位もあり得た。この意見は絶対に曲げない。
ピンクのメルセデスが恋しい。グリッドで一番いいカラーリングで、しかも速いマシンだった。
ピンクのメルセデス、通称「トレーシング・ポイント」な。
代役ドライバーとはいえ、レーシングポイントでのヒュルケンベルグは間違いなく怪物だった。GOAT。
5年後、彼はここで表彰台に立ったよ。
2021年のフロア規制はメルセデス潰しだったのか
レッドブルがシーズン終盤には勝ち争いに加わって、2021年にはタイトル争いまで持っていったのは本当にすごい。メルセデスが2022年の新レギュレーションに集中していたのはわかるけど、それでもあの開発スピードは異常だし、そのうえ新レギュレーションでも最速マシンを作ってきたんだから。
>2021年にはタイトル争いまで/ FIAは2021年、フロアを半分近く切り落とすことでメルセデスを弱体化させた。当時あのチームが使っていた低レーキのコンセプトを潰すためだ。
それは完全なデマだし嘘だ。あのフロア変更はメルセデスだけでなく全チームに適用されたし、むしろ高レーキのマシンのほうがダメージが大きいというのが当時の大方の予想だった。低レーキのコンセプトだけを潰したという証拠はゼロ。メルセデスが変更の影響を読み違えて、レッドブルがうまく開発しただけの話。それと、そもそもなぜフロア規制が必要になったか思い出してほしい。2021年に予定されていた新レギュレーションが2022年に延期されたからだ。
エンジンモードとDASも一緒に潰されたからな。かなり厳しい三段構えの制裁だった。
エンジンモードは2020年に禁止されたけど、実質ほとんど影響はなかった。フロア変更も上に書いた通り全チームに影響している。だから実際は三段構えじゃなくて一段だよ。
予選専用のエンジンモード(パーティーモード)が禁止されたのは2020年イタリアGPから。
それでも翌日勝ったのはフェルスタッペンだった
そしてなぜかフェルスタッペンが決勝で勝つ。
しかもフェルスタッペンは、Q2でギリギリQ3に上がるためだけに使ったハードタイヤでスタートして、貴重なミディアムを第2スティントに温存していた。※訂正:第3スティントはたしかにハードだった。とはいえレースの大半は前半で決まっていたけどね。
あのメルセデスの異常な速さは、タイヤを早く食い潰すという代償とセットだったということだな。
2022年のフェラーリもよろしく言ってるってさ。
ピレリはイギリスGPの翌週、70周年記念GPで1段階やわらかいコンパウンドを持ち込んだ。イギリスGPではメルセデスの2台ともタイヤがバーストしていたし、おまけにあの週末はバカみたいに暑かった。エンジンとタイヤのオーバーヒートはW11の大きな弱点で、コロナ禍の異常なシーズンだったからうまく隠れていただけだ。
前の週のイギリスGPでデータを取っていたのに、メルセデスがタイヤ戦略をしくじったのは今考えても信じられない。
コンパウンドがやわらかくなって、しかも指定空気圧もかなり高かった。それだけでタイヤの挙動はけっこう変わるから、事前に準備するのは難しいよ。
その全部が、翌日マックスに負けるための前振りだった。あの暑い週末、W11はタイヤを貪り食っていたからな。
このレースでマックスが勝ったあとのトト「ペースの欠如が不愉快だ」
レーシングポイント、ピンクメルセデス懐かしいなw
本当に速かった
出典:r/formula1

