【海外の反応】「アクセルとブレーキを同時に踏むのが今のF1」ホンダPU問題を巡る海外フォーラムの考察

開幕から8戦で獲得ポイントはわずか1。鳴り物入りで始まったアストンマーティン・ホンダの2026年は、今のところ茨の道だ。

プレシーズンから騒がれた振動問題に始まり、マイアミ以降は「ランダムなダウンシフト」がドライバーを悩ませ、モナコではストロールが最終コーナーの壁に一直線。当初は荒れた路面が疑われたが、後にチームとホンダが技術的な問題だったと認めた。ストロール本人いわく「スロットルが50%開いているかのように壁へ押し出された」。ホラーである。

ホンダ側も原因を隠してはいない。HRCの折原伸太郎チーフエンジニアは燃焼の安定性エンジンとMGU-Kのトルク配分のハーモニーに課題があると説明。渡辺康治社長も、第4期終了からアストンマーティン提携発表までの約1年間、開発拠点のSakuraが少人数の基礎研究のみになっていた「空白」を率直に認めている。

この状況を海外のガチ勢はどう見ているのか。

犯人は燃料か、それとも体制か

ホンダとアラムコのシナジーが、モービル時代と同じ水準にないのは確かだろう。でも新しいパートナーシップなんだから、時間とともに深まっていくはずだ。それを言うならアウディとBPも条件は同じ。ちなみにRBPT(レッドブル・フォード)には、ホンダがSakuraでやっていたような、燃料の分子や化合物を自前で試験するラボがない。ホンダはそこで得た配合のアイデアをモービルに送っていた。だから多少の不利があるとしても、むしろ逆の可能性だって十分ある

正直、このプロジェクトは初日から詰んでた。アストンマーティン側は船頭が多すぎるし、ニューウェイにはホーナーみたいに手綱を握る役が必要。ホンダ側は若いエンジニアが多いうえ、新規則で燃焼室設計を完全に作り直す羽目になった。おまけに燃料は、F1用レース燃料を作った歴史のない会社の新品ときてる

その理屈の問題はね、今年は全チームが完全新規の燃料で走ってるってこと。ホンダだけじゃない。しかもアラムコはF2で数年この燃料を供給してきたから、製造経験はむしろ一番ある。ベストな燃料という保証にはならないが、「燃料犯人説」の分は悪くなるよ

まるで全部の燃料が同じ品質みたいな言い方だな

F2に供給し始めて1年目の会社を「F1のゴールドスタンダード」と同列に語るのはさすがに無理がある(笑)。一方のホンダには、エクソンモービルとチャンピオン燃料を作り上げた実績がある。シナジーという言葉は伊達じゃなくて、燃焼と潤滑の科学はその積み重ねの上に成り立つんだ。折原は単気筒テストに言及していたが、レッドブル時代はそれがほぼ毎回、燃料アップグレードとセットだった。燃料・潤滑系の改良はホンダ復活の大きな要素だったし、シナジーが熟成すれば性能は上がってくるはず。難しいのは、どの特性が想定外の燃焼イベントを起こしているのかを特定すること。それがPUの振動として現れていたと理解している。折原は「フリクション」にも言及していた。エネルギーを食う致命的な弱点だ

2027年に50:50レギュの行方も不透明なのに、2026年用に何か投入する意味はあるのか?と問う人もいる。でも、サーキットこそが実験室だ。開発を投入すれば理解が深まる。今の問題はいわば「初期不良」で、第2スペックのエンジンと燃料が2027年への一歩になればいい。ただし、サマーシャットダウン前に間に合わせるためだけにエンジンを急造するのはやめてほしい

ホンダ首脳の説明で答え合わせ

日本のオートスポーツwebに、HRCの渡辺康治社長のインタビュー(2026年6月14日付)が載っていた。翻訳が必要だが、要するに、なぜアストンマーティン・ホンダが後手に回っているのかを社長自身が語っている。2022年から23年にかけて、ホンダがF1「復帰」を決めた時期にSakuraの継続性が失われて、研究開発が実質ハードリセットされていたんだ

渡辺社長の証言によれば、第4期が終了した2022年3月にエンジニアの多くがSakuraから本田技研や本田技術研究所へ戻り、アストンマーティンとの提携を発表する2023年5月までの約1年間、Sakuraはごく少人数で基礎研究・要素研究のみを続けていたという。この空白期間の遅れを、社長自身が「結構大きかった」と認めている。

ホンダのチーフエンジニアがPUのドライバビリティ問題を解説した記事、ネットで拾ってきた。だいたい予想どおりの内容だったよ。要するに、燃焼の改善をやり続けるしかない

これでいくつか裏が取れたな。特に、新スペックのICEはまだ準備できていなくて、翻訳によれば「夏頃」とのこと。これ以上遅れなければ8月ってところか。エンジンと車体を同時に投入するのかについては、やけに言葉を濁していた。新シャシーが新エンジン専用だと言いたくないのか、単にどうでもいいのか

加速しながら発電する、ってどういうこと?

2026年PUはMGU-K(駆動軸のモーター兼発電機)の出力が350kWに拡大された一方、減速時の回生だけでは電力をまかなえない。そこで、アクセルを部分的にしか踏んでいない場面でもエンジンを高負荷で回し、余った分を発電に回す「パートスロットル回生」が各社の前提になっている。

この「加速中に回生する」ってところが意味不明なんだが

いや、意味は通る。ドライバーのスロットル要求がICEの最大出力より小さければ、ECUがスロットルを必要以上に開けて、余った分をMGU-Kの回生で「押さえ込む」ことができるんだ。エンジン前後のふたつのトルクをブレンドして、継ぎ目のないトルクの流れとしてリアアクスルに届ける…ソフトウェアが正しく書けていれば、の話だが。公式声明を見る限り、ホンダはまさにそこがまだできていない

仮にICEとMGU-Kの出力が50:50だとしよう。スロットル25%のとき、ICEは100%で回り、MGU-Kがマイナス75%で発電して、差し引き25%がホイールに行く。PU全体としてはドライバーの要求と一致してるわけだ

これ、プレシーズンに自分も予想してた。加速のごく初期にMGU-Kを充電すれば、一種のトラクションコントロールとして機能し得るんだよ。ドライバーは早めにアクセルを開けられて、余分なトルクはMGU-Kの負のトルクで相殺される。全開になったらMGU-Kはデプロイに切り替え。コーナーの回頭、トラクション管理、回生を一度にこなせる

PUの出力はドライバーの要求と一致しなきゃいけない規則だから、それをトラクションコントロールとして使うのは許されないぞ

理屈の上では、ICEの最大トルクがホイールスピンを起こせる場面なら、いつでも回生は有効だ。ただしモーターの同期の問題で、回転が急変している最中は回生トルクを維持できるとは限らない…にしても、ドライバーエイドの匂いがしないか?

FIAは「ECUに実装された機能に常に従う」という建前だが、実際はそうならない。FIAは調べられないから調べないし、調べないから調べられない。それでいいんだ。ついでに言うと、PUマップはギアシフト中(公称60ミリ秒?)には適用されない。レース全体で合計すれば数分ぶんになる

ニューウェイの全開発言、その真意

モナコみたいにパワー制限まであるサーキットで、パートスロットル回生の必要なんて本来ないはずだ。他のメーカーは(スーパー)クリッピング頼みという印象だし。ホンダだけがこれをやってるとしたら、ICEのパワーが足りないせいで、なりふり構わずエネルギーをかき集めてるのかもしれない

スーパークリッピングとは、ストレートでデプロイを絞ったり回生に切り替えたりして、エネルギーを別の場所のために貯める手法のこと。実行中は加速が鈍るため、「ストレート後半で急に伸びなくなる」挙動として現れる。

部分負荷回生はスーパークリッピングより明確に優れているよ。スーパークリッピングは実行中、実際に車速を殺す。他の区間でのタイムゲインが損失を上回るというだけだ。部分負荷回生の欠点は燃料消費が増えることくらい(あと、ホンダの場合はドライバビリティらしいが)。それにこれは新しい話じゃない。ホンダは2016年にはもうやっていた。2016年オーストリアの予選と決勝ラップのテレメトリーを見ると、パーシャルスロットルでMGU-Kのパワーがマイナスになっているのが確認できる

そうだね。ただ現実には、圧倒的にストレートで、スーパークリッピングでやってるみたいだけど

観察と漏れ聞こえてくる情報は、それを裏付けてない気がする。どうやら各社とも、コーナーでICEを回すより、スーパークリッピングで貯めて次のストレートで使うほうが得らしい。ニューウェイが去年言ってた「コーナーでエンジンが高出力で回る」効果、正直聞こえてこないんだよな

あれは妙な発言だった。ICEのクランクシャフトはギア比を介してリアタイヤと直結してるんだから、回転数が上がって聞こえるわけがない。ただ、ECUのトルク要求が車速に必要な分より高いことは普通にあり得る。その差分を受け取るのがMGU-Kってわけだ

そうそう、回転数は選択中のギアと車速で決まるからね

だから何?燃料を多く燃やせばパワーも音も増えるだろ。別に回転数が上がるとは言ってない。ただ、本気でコーナリング中に回生したいなら、想定より常に低いギアを選んで回転数を保つはずだ。そのほうが回生効率がいい

どうせタービンでこもった音になる。あの騒音の中で違いなんて聞き分けられないって

ニューウェイの発言は言葉選びがちょっと変だったんだと思う。まるで全車が11,000rpmで惰性走行しながらコーナーを回るみたいに聞こえたけど、実際に言いたかったのは、鬼のようにシフトダウンして低いギアに入れて、ブレーキをかけるMGU-Kに逆らってICEが高トルクで踏ん張る、ってことだろう。実際そうなってるし

アクセルとブレーキの同時踏み、が一番近い

イメージできない人向けに言うとこうだ。自分のクルマで加速して、アクセルを踏んだまま、同時にブレーキも踏み続けてみてほしい(もちろん安全な場所でね)。それが今のF1で起きていることとほぼ同じだ。ブレーキと摩擦熱を、電気モーターの抵抗とバッテリー充電に置き換えただけ。エンジンのトルク要求は高いまま、MGU-Kが強烈な抵抗をかけて回転を落とし、車速を殺す。高トルクで回ろうとするICEにMGU-Kが逆らう、その抵抗がそのまま充電になる。ついでにターボの回転を保つ「ブレーキブースト」的な効果もある

一番わかりやすいイメージだな!

これのチューニングは極限まで精密じゃないとダメだ。前につんのめるようなショックや、シフト中のブレーキ力の変動が出ないようにしないといけない。ホンダが「ブレーキング中のエンジンが安定したトルクを出せない」と示唆してるのがまさに問題で、そこにギアボックスの脆さが重なったら二重苦だ。シーズン前のイモラでレーシングブルズが走った映像がどこかにあるんだが、ターン1への進入で、減速とシフトのたびにローソンの頭が前後にガクガク揺れてる瞬間が映ってる(チューニング未完成の症状だ)。この規則でエンジニアが仕上げるべきものが何か、よくわかる映像だよ

核心はミリ秒単位のトルクと燃焼

みんなが言ってる「リニアなトルク」って表現は正確じゃない。そもそもここでリニアが何を指すのかも怪しい。どのエンジンも「最速で走るために必要なトルク形状」を持っているだけだ。彼らが本当に指しているのは「安定したトルク」。つまり、ある負荷に対するミリ秒単位のトルク変動のことだ。遠目には滑らかな曲線でも、拡大するとぐにゃぐにゃに波打っている、そんなイメージ。解決するには、燃焼をより強く、より安定させるしかない

まったくそのとおりで、自分の言葉選びが悪かった!要は、スロットルとECUからの「指示」に対して、トルクの応答が不安定で予測できないこと。ドライバーが瞬間瞬間のスロットル操作で、想定外のトルクを受け取ってしまう。モナコで1速に入れた瞬間の挙動について、アロンソが「あれではバリアに行きかねない」という趣旨のことを言っていたはずだ。マシンを狙った場所に置き続けるために絶対に必要な信頼性が、まだ欠けている。公式声明の行間を読むと、問題は一発一発の燃焼がどう伝播するかにありそうだ。そこが予測可能じゃない限り、ECUのプログラムは要求どおりの応答を返せない

アロンソの実際の発言はモナコGP前のもので、「ランダムなダウンシフトが起きれば壁に突っ込んで、ドライバーが間抜けに見える」「ギアを落とした瞬間、全開にしたかのようにエンジンに押されることがある。そういうとき、我々はただの乗客だ」。そして決勝では、ストロールが実際に「スロットルが50%開いたかのように」壁へ押し出された。

ICEが急激なトルク要求の変化に一貫した応答を返せないなら、それは失敗だ。ギアシフト自体が過酷な過渡現象で、クラッチが切れているごく数ミリ秒の間に、PU回転数は理想的には14%も上下する。モーター側の応答は本来、正確で信頼できるものなんだ…効率に飢えた新型ICEが直結されてさえいなければね。ICEの過渡挙動に乱れがあると、モーターの同期が外れて、強いゴムで作ったギアが一定トルクを超えると歯飛びするみたいに、トルクが崩壊したり「トルクの吃音」が発生したりし得る。そもそもモーターはICE比で2025年の4倍のサイズになった。車載のエネルギーの流れが複雑になったことに、シフト品質が悪化したことに、なぜみんな驚いてるんだ?

どんなに高度な制御システムでも、火炎伝播がダメならミリ秒精度のトルクは制御できない。つまり、燃料の分子、スワールとタンブル、ピストン形状にインジェクターまで遡って直すしかない。ホンダの仕事は山積みだ。規則の燃焼室をベースにしたものの、煮詰める時間が足りなかったのか。あるいはゼロから作って、単に時間がもっと必要なのか

1988年もこうだった:歴史語りが始まる

1988年(燃料150リットル時代)のホンダエンジンは、濃い混合気で走ればレスポンスが良い代わりに燃費が苦しく、薄くすればその逆という板挟みだった。ドライバーたちはレスポンス優先のセッティングを選び、燃費は走り方で稼いで15勝した。いっそ今のホンダはプリウス式の無段変速にして、ICEを本物のギアシフトから解放したらどうだ?(8速の疑似ギア感はモーター側の演出で)。昔ホンダNR500を見たときも、レスポンス不足でシフトに失敗して走行中にエンストし、コース上で再始動不能になっていた。60年前の英国の野心作BRM H-16も同じで、シフトでエンストした。クランクに金属片を足して慣性を増やす対症療法で、あのエンジンで勝てたのはジム・クラークだけ。幸い、そのあとコスワースDFVが現れて世界が変わった

FIAだか誰だか知らないが、エンジン規則は一部を無意味な形で縛ってる。どうせMGU-Kに変速を絡めるなら、ICEの伝達系から切り離してCVTにするほうがよほど効果的なのに

CVT解禁だけは勘弁してくれ。常に最適回転数で回り続けるエンジンの一本調子な音とか…退屈すぎる

出典:F1Technical.net

ボタンをクリックしてシェア
Subscribe
Notify of
guest
0 Comments
古い順
新しい順 人気順
目次