2026年シーズンが始まって3戦。F1ファンの間で最大の論争になっているのが「スーパークリッピング」問題だ。
スーパークリッピングとは、ドライバーがスロットル全開のままストレートを走行中にもかかわらず、MGU-Kがエネルギー回収モードに切り替わり、車が急激に減速する現象のこと。鈴鹿では130Rの手前で明らかに減速するマシンが見られ、「もはや高速コーナーが中速コーナーになっている」とアルボンが嘆く事態になった。
そんな中、元F1エンジニアのトニ・クケレジャがXに投稿したシミュレーションが注目を集めている。クケレジャはスーパーアグリ、HRT、ザウバーなどでF1エンジニアとして活躍し、2015〜16年にはフェラーリにも在籍した人物だ。
彼の提案はハードウェアを一切変更せず、パラメータ調整だけでスーパークリッピングを完全に解消するというもの。具体的な変更点は以下の通り。
- MGU-K最大出力:350kW → 200kW
- 最大回収パワー:350kW(据え置き)
- 最大リチャージエネルギー:9MJ → 6MJ
- スルーレート(出力の立ち上がり速度):100kW/s → 50kW/s
- MGU-K/ICE出力比:50/50 → 36/64
このシミュレーションをマイアミ・インターナショナル・オートドロームで実行した結果、スーパークリッピングは完全に消滅。最高速はブレーキング直前で328km/hに達し、ラップタイムの増加はわずか1.4秒。それでもF2より8秒速いというものだった。
これで全サーキット解決するのか?
個人的に気になるのは、これが全サーキットで通用する解決策なのか、それともWECのBoP(性能調整)みたいにサーキットごとに微調整が必要になるのかという点だ。仮に後者だとしても、エネルギーマネジメントに縛られたスーパークリッピングだらけのF1より、多少遅くても自然なレースが見られるF1の方がいい。
200kWという数値はあくまでマイアミでの最適値だ。サーキットごとに設定を変えた方がスーパークリッピングを完全に排除できるし、リフト&コーストも最小限で済む。ベガス、バクー、モンツァのような高速サーキットなら100kWまで下げる必要があるかもしれないし、シンガポール、モナコ、ハンガリーのようにブレーキゾーンが多いサーキットなら300kWまで上げられるかもしれない。2026年の残りのシーズンを救う現実的な応急処置としては、これが唯一のまともな策だと思う。
WECのBoP(Balance of Performance)とは、異なるカテゴリーのマシンが同一レースで競えるよう、出力や最低重量をレースごとに調整する仕組みのこと。F1でもサーキット特性に応じてMGU-K出力上限を変える「トラック別チューニング」が有効ではないかという議論になっている。
1.4秒遅くなる?それの何が問題なんだ
元投稿にある通り1.4秒だ。正直、2秒遅くなったって誰も気にしない。でも全員が同意するのは、「速いマシンがゆっくり走らされる」より「遅いマシンを全力で攻める」方が見たいということだ。
正直なところ、ストレートで10km/h遅くなって1.5秒ラップタイムが落ちたところで、俺の視聴体験には何の影響もない。むしろドライバーのパフォーマンスがより重要になって、レースの質は上がるだろう。
これが答えだよ、明らかに。200kW / 6MJにすれば、あの悪名高いスーパークリッピングとおさらばできる。最高速は2025年よりまだ速いし、ラップタイムは350kWシミュレーションからたった1.4秒遅くなるだけ。話がうまく出来すぎてるくらいだ。短期的なベストの解決策だし(来年にはまともなバッテリーと回生オプションが来ることを祈る)、でも50/50スプリットがずっと目標だったことを考えると、チームにとっては受け入れ難いかもしれない。長年推進してきたコンセプトからの方向転換になるからな。でもグラフの速度曲線を見てくれよ。あれはもう一度F1に見える。
「F2より8秒速い」って自慢にもならないが、まあ今のレギュレーションが最高速にどれだけダメージを与えたかを物語ってるな。正直、この最適化でシーズンを救えるなら、来シーズンに向けてMGU-Hの復活みたいな本格的なハードウェア変更を提案する時間も稼げる。状況は一変するよ。
モンツァはどうなる?
モンツァで何が起きるか想像してみろ。バッテリーがあっという間になくなるのを眺めることになる。アスカリへの軽いブレーキングで少しだけ回収して、パラボリカまでのストレートでデプロイして、パラボリカも軽いブレーキングだから、メインストレートに出る頃にはバッテリー空っぽだ。で、メインストレートの終わりには時速140マイル(225km/h)とかになるわけ? そのプランは一体何なんだ?
サーキットごとの微調整が良い解決策になりそうだな。
なぜ回収量を減らすことが解決になるのか
ちょっと馬鹿な質問かもしれないけど、なんで電気モーターはストレートの終わりに回生に入らなきゃいけないの?パワーを供給するのを止めるだけじゃダメなの?
止めることはできるよ。でもスーパークリッピングを使うケースでは、ストレート終盤で車を減速させてエネルギーを回収し、次のコーナーの後により素早く加速させた方が、実はラップ全体では速いんだ。直感的じゃないけど、結果的にこれが最速のラップの走り方になってしまう。
充電量を減らす(9MJから6MJ)ことがなぜ役立つのか理解できない。充電量が多い方がデプロイを長く続けられて、バッテリーが切れるまでの時間も稼げるんじゃないのか?
ポイントは「回収しなければならないエネルギー量を減らす」ことにある。9MJだとラップ中に大量のエネルギーを回収する必要があり、ブレーキゾーンだけでは足りないためスーパークリッピング(全開走行中の回収)が発生する。6MJに減らせば回収ノルマが下がり、ブレーキングだけで必要量を賄えるようになる。
50/50スプリットへの疑問
別のスレッドでも書いたけど、応急処置として、ストレートモードゾーンでのみデプロイ出力を制限するだけでもスーパークリッピングの解消に効くんじゃないか? 50/50のパワースプリット自体は面白いアイデアだったけど、レギュレーションの設計思想がちょっとおかしい。電気パワーはコーナー脱出加速に使い、アグレッシブなアクティブエアロでドラッグを減らしてICEでストレートを走り切るそういう設計であるべきだった。バッテリーをストレートで一気に放電させつつ回収率とMJ容量を制限する今のやり方は、明らかにミスステップだったと思う。
全開なのに減速するのは見たくない。
スーパークリッピングが無くなれば、見かけだけの質の低いオーバーテイクは無くなるが、
それはそうとしてオーバーテイクは見たい。
4月9日に議論するみたいだからどうなるか見てみよう。

