角田裕毅とApex Legendsの歴史 10時間マラソンにダイヤモンドランク、壁に穴を開けた男の軌跡

F1ドライバーの角田裕毅が、Apex Legendsのトップストリーマー・NiceWigg(ナイスウィッグ)に自ら声をかけたことが話題になっている。

NiceWiggといえば、Apex Legendsの世界大会実況を務め、100 Thievesの共同オーナーでもある有名人。そんな彼がXに投稿した内容がこちら。

「角田裕毅が自分から近づいてきて、僕のYouTube動画を観ていると言ってくれた」

このエピソード、角田のApex歴を知っている人からすると納得できる話でもある。ここでは、角田裕毅のApex Legendsとの歩みを振り返ってみたい。

始まりはコロナ禍2020年、Apexにハマる

角田がApex Legendsを始めたのは2020年。新型コロナウイルスの影響で在宅期間が長くなっていた時期に、日本で流行していたApexを友人の勧めでプレイし始めた。以来、すっかりのめり込んだという。

2021年のF1デビュー直後のインタビューでは、ゲームについて聞かれた角田がこう答えている。「FPSのApex Legendsを友人たちとしている。チームを組んで戦い、生き残ったチームが優勝する」ここまでは普通のゲーマーの回答だ。

しかし続きがある。「予選でミスしたり、前にじゃまなクルマが出たりすると熱くなりやすい。ゲームでも同じで、上手くいかないと叫んでしまう。そこで、自分をコントロールすることを心がけながらゲームをしている」。角田にとってApexは、単なる趣味ではなくメンタルトレーニングの一環だった。

ちなみに「日本語を話せるのはそういうときぐらいなので(笑)」というコメントも添えていた。イタリア、後にイギリスを拠点とする生活の中で、母国語でリラックスできる貴重な時間でもあったようだ。

そしてこのハマり方が尋常ではなかった。2023年のChannel 4 Sportのインタビューでは、朝8時半から夕方6時半まで、約10時間のApexマラソンプレイをしていたことを明かしている。昼食はその合間にスナックで済ませるという、完全にゲーマーのそれである。

壁に穴、コントローラ破壊 ガチすぎるプレイスタイル

角田のApexへの入れ込み具合を最もよく表すエピソードが、2025年の東京ゲームショウで本人が明かしたこの話だ。

「めちゃめちゃ悔しくて、イギリスのアパートの壁に穴を開けちゃって、コントローラも何回か投げちゃったことがある」。

F1の無線で叫ぶ姿でおなじみの角田だが、ゲームでも同じということが判明した瞬間である。本人いわく、ゲームでフラストレーションを爆発させることで、逆にレースでは冷静になれる効果があるらしい。これをメンタルトレーニングと呼ぶかどうかは議論が分かれそうだが、とにかくガチであることは間違いない。

2022年 iiTzTimmyとの初共演

角田のApex愛が海外コミュニティにも知られるきっかけとなったのが、2022年6月のイベントだ。Apex Legendsの人気ストリーマーであり元プロプレイヤーのiiTzTimmy(ティミー)のTwitch配信に角田がゲスト出演。1対1の対戦や、チームを組んでのマッチプレイを行った。

iiTzTimmy
ALGS 2025 Pro League Split 1で4位入賞
賞金総額(概算):184,553ドル

配信中、角田はF1シーズンのトレーニングが始まる前にダイヤモンドランクに到達していたことを明かしている。Apex Legendsのランクシステムにおいてダイヤモンドは上位数%に位置するランクで、カジュアルプレイヤーが簡単に到達できる領域ではない。

Red Bull Gamingの公式Xアカウントも配信中のクリップを投稿し、角田がiiTzTimmyを倒す場面を「is it luck?(まぐれか?)」というキャプションとともに紹介。

TGS2025 プロゲーマーと真剣勝負

そして2025年9月、角田のApex愛が最も大きく形になったのが、東京ゲームショウ2025(TGS)でのイベント「Red Bull Apex Takeover with Yuki Tsunoda」である。

アゼルバイジャンGPとシンガポールGPの合間を縫って緊急帰国した角田は、幕張メッセのステージで人気ストリーマーやプロ選手と3対3のチームデスマッチに挑んだ。しかも本人は1週間前からウォーミングアップを行っていたという。「恥をかきたくない」負けず嫌いの血が騒いだらしい。

角田の「TEAM TSUNODA」には、アメリカの元Apex Legendsプロ選手iiTzTimmyと、ZETA DIVISIONのta1yoが参加。

角田が選んだキャラクターはパスファインダー。イベントのキービジュアルにも角田と並んで描かれた「推しキャラ」で、グラップリングで高台を確保してから攻撃を仕掛けるなど、キャラクターの特性を理解した立ち回りを見せた。また、生存重視が求められた最終戦ではバンガロールに変更するなど、勝つための柔軟な判断も行っている。

プロも認めた「食らいつき」

結果はTEAM TSUNODAが2勝1敗で勝利。角田はプロ相手にも物怖じしない戦いぶりを見せた。

第3試合では名門チーム「Fnatic」の現役プロ選手との1対1の場面で、相手の体力を残り2割まで削る猛攻を見せた。解説陣からも「トッププロ相手に相当弾を当てている」「本当によく頑張っている」と高く評価されている。

2022年の配信以来、約3年ぶりに共闘したiiTzTimmyは角田のプレイを「彼はクレイジーだった」と評した。配信中にもiiTzTimmyとの連携で敵を仕留める「神連携」の場面があり、会場を大いに沸かせた。

一方の角田本人はというと、「かなりひどかったです」と謙遜。また、かなり前にやめたゲームだとイベント前から予防線を張っていたらしい。第1試合後にはコントローラーのジャンプボタンが故障していたことが判明し、「(直れば)ティミー以上に戦える」と冗談を飛ばす場面も。

角田本人も自分の限界は理解しており、「初心者は初心者なりに、後ろでカバーすることに徹した」と冷静に振り返っている。プロとの実力差を素直に認めつつ、できることを最大限やるという姿勢は、どこかF1でのレースアプローチにも通じるものがある。

MVPにはiiTzTimmyを選出し、スペシャルヘルメットを贈呈。F1好きを公言するZETA DIVISIONの鈴木ノリアキは「毎GPをチェックしている」「圧倒的に一番緊張している」と語り、SPYGEAは「F1だけでなくApexも強いのかよ」と驚きを見せた。

お気に入りのパスファインダー入りヘルメット

NiceWiggへのファンアプローチ

TGS2025でプロ相手に腕前を披露し、iiTzTimmyとも再び共闘した角田。Apex Legendsコミュニティでの知名度は着実に上がっていた。

そんな中での今回のNiceWiggとの遭遇。NiceWiggは、Apex Legends競技シーンを追っている人は知らない人がいないレベルの存在だ。元プロ選手であり、ALGSのキャスターとして公式大会の実況を担当。2024年にはStreamer Awardsで「Best Battle Royale Streamer」を受賞している。2026年1月には100 Thievesの共同オーナーに就任した。

声をかけられたNiceWiggは「Unreal(信じられない)」。

出典:Car Watchautosport web、Red Bull Apex Takeover配信アーカイブ

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